ファイナルカット

春開始アニメ群が最終回を迎えております。

ある程度は最後まで観ていたけれど、印象に残っているのはそれほどでも…というのは毎シーズンよくあること。今回もそう。

そんな中、以前のシーズンでアニメ化された「RWBY:氷雪帝国」がファイナルカットと銘打って放映していたのだけど、「ファイナルカットてなんね、前のは本気じゃなかったんかい」とひねくれた考えを持ってしまうおじさんでした。

RWBY」は元々、海外のアーティスト、モンティ・オウム氏によって製作された3DCGアニメ。未知の存在「グリム」とその背後にいる悪意の源との戦いを描く、トゥーンシェードの効いたキャラクター達が外連味たっぷりのアクションで魅せる、そんな作品。本当はもっと書くことがあるのだけど、今回は割愛。

その3DCGアニメを日本でアニメ化しようという企画が「氷雪帝国」なのだけど、3Dモデルだからこそのアクションを普通のアニメでどうするのだろうか、と思い観てみたのだけど、「不満はないけどなんかもの足りない」というのが率直な感想で、いまいち乗り切れず、4話辺りまで観て「ううん…」となってしまい放置したのです。

で、ファイナルカットの登場となり、それじゃあ、と今度こそちゃんと観たのですが…。

確かにアクションシーンの作画、描写、カット割りはよかったですよ。ストーリーもまあこんなものよね、と不満はない。けどなんだこの物足りなさは。

「氷雪帝国」最終回、本家「RWBY」にもあったフードファイトが超絶アクションで魅せてくれたのは素直にすごいな、と思ったけれど、それでも満たされないのはなぜなのか。

恐らくそれは、自分が初めて「RWBY」を観たときのインパクト以上のものが観られなかったからなのだろう。

RWBY」の1stトレーラーがYouTubeで配信されたのはもう10年近く前のことだったろうか。激しく華麗に動く赤ずきんの少女を観たとき思ったのは「こんなゲームがしてみたい」だった。そうそれはすごく「ゲーム的」な動きだったのだ。

「ゲーム的」と書くと悪印象を持たれがちだけど、全く逆で、ゲーム的が故にカッコよさが追求されていて、さながら良質なアクションゲームリプレイを観ているようだった。

そう、アニメ(2D)となった「RWBY」には「こんなゲームしたい」という欲求は湧いてこなかったのだ。勘違いしてもらっては困るが、前述のとおりアクションは素晴らしいんだ。でも、初期衝動と同じものを感じることができなかった自分の問題なのだ。

モンティ・オウム氏は「RWBY」製作中に若くして亡くなった。日本アニメ・漫画とハリウッドアクション要素をかけあわせた彼のアクションの組み立てセンスは天才的で、それが故に、彼の亡き後の「RWBY」はやや精彩を欠けるように感じた。

「氷雪帝国」も日本の素晴らしいクリエイター達が集まって作っただけあってレベルとしてはそれなりに高い水準にあるといえる(あくまでファイナルカットでの基準)。

しかし、それらをもってしてもモンティ・オウムから受けた衝撃を上書きすることができなかったのだ。