セガSC・SGシリーズとファミコン(FC)の競争は圧倒的FC側の勝利に終わった。しかも早々に、だ。
SC-3000を選んだ自分は激しく後悔することとなった。なにせ周りに同じハードを持っている人間がいないのだ。いくら面白いと思ったゲームソフトがあっても、その感覚を共有する者が皆無なのだ。
ある程度年齢が上がっていればそういう状況もまだ耐えられるが、いかんせん小学校高学年~中学生の身でそれはつらいと言わざるを得ない。挙句、恥辱的ないじめにも発展し絶望の中でロウティーンを過ごす羽目になったのだ。
そのため、おじさんのFC知識は伝聞や友人宅で遊ばせてもらったモノ、店頭でデモプレイできたモノ、に限られていたのだ。
開き直ってFCをねだるという手も当然あったが、もう家庭用ゲーム機に対して憎しみしか持っていなかったのと、ゲームへの興味が家庭用ゲームではなく、パソコンゲームに移行していたため、結局FCを買うことはなかった。
なぜここでパソコンゲーム?となるのか。当時、叔父がとある大手印刷会社で働いており、月に一度我が家に顔を出す際に、その会社で印刷していた、電波新聞社が発行していた「マイコン」誌を持ってきてくれたのだ。
もとは兄のために持ってきたのだが、自分もちゃっかり読ませてもらっていた。とはいえそこに掲載されている記事など、全くといっていいほどわからないものばかりだったので、見るのは主に広告、しかもゲームの広告だった。
80年代PCゲームはアーケードゲームからの移植作や、オリジナルのアドベンチャーゲーム、海外PC(主にApple)ゲームからインスピレーションを得た作品など、多種多様なものにあふれていた。家庭用ゲーム機選択に失敗したおじさんの目には、こちらの方がよっぽど面白そうに写ったものだ。
「マイコン」誌を読む(というか広告を見る)習慣がついたおかげで、本屋でそのほかのパソコン雑誌に掲載されている広告やゲームのレビューなどを見て、どれだけ面白いのか想像していた。
もうFCもSCもいらない。これからはパソコンゲームだ!と、心の平穏を別天地に求めたのであった。