飢え:その3

テレビゲームの歴史を知る人にとって、1983年7月は特別なものではなかろうか。

他でもない、ファミリーコンピュータファミコン)が発売された時期である。

そしてその陰にもう一つ(ふたつ?)のゲーム機が生まれていた。セガのSC-1000、SC-3000である。

ゲームしたい欲が高まっていたこの頃、世の中では『カセットビジョン』等、家庭用ゲーム機の発売が相次いだ。これにおじさんのゲームしたい欲は刺激されまくり、おじさんは何とか親を説得してゲーム機を手に入れようとしていた。

そして至った1983年7月、ついに購入の許可をもらったのだがそこで悩んだのはファミコンにするかSC-3000にするかだった。

なぜここにSC-3000?賢明な方ならそう思うだろう。この選択肢には兄の思想が絡んでいた。

兄曰く「SC-3000はカートリッジを差し替えることによりBASIC言語を学ぶことができる。ゲームしかできない機械を買うより、プログラムに慣れることも重要である。」なるほど一理ある。が、しかしこちとらゲームで遊ぶことしか考えてない。そんなんいるのかね、と思ったものの、かつて兄に遊ばせてもらったプログラム類のことを思い出し、なるほど、市販のソフト以外のものも遊べるかも!と浅はかに考え直したのだ。

結果、SC-3000をお迎えすることとなったのである。そしてこれが(旧)セガとの長い付き合いとなるきっかけとなり、自らの歴史において、家庭用ゲーム機に関するトピックへの出遅れの始まりとなるのだった。