飢え:その1

幼いの頃からゲームに飢えていた。

理由として考えられるのは家の中の遊びがトランプや花札くらいしかなかったからだろう。

他のご家庭にはあるボードゲーム等が我が家にはなく、家族で遊ぶにしても上記2種、もしくは奇跡的に存在していたポンジャンドンジャラ的なもの)だが、子供にはちょっと難しかったのであまり夢中にはなれなかった(そのせいかどうかはわからないが未だに麻雀ができない)。

代替できる娯楽がないまま成長し、やがて年の離れた兄がパソコンを購入、雑誌に掲載されたゲームプログラムを入力した際にそれを遊ばせてもらったことが、今に至るまでに続くデジタルゲームへの執着の始まりであった。

当時(40年以上前)のパソコンで作られたゲーム故、手の込んだではなかったものの、遊びに飢えていた小学生の心を虜にするには十分な代物であった。なにしろプログラムさえ打ち込めればひとりで遊べるのは大きい。ボードゲームは楽しいけれど一人では遊べない(無理くりやったこともあるが)。

パソコンの性能は少しずつ上がり、それに比例してプログラムも高度なものが扱われるようになる。そしてゲームソフト、というものが誕生するのだけど、これが子供が買えるような値段ではないし、かといって兄に買うように懇願しても聞き入れてもらえず、ゲームで遊びたい!という熱を胸の内に秘めたまま、パソコン雑誌に掲載されているゲームソフトの記事を眺めるという日々が続くことになる。