気にするほどの差

先日放映された「劇場版じゅ0」を遅ればせながら録画で拝見しました。

良い内容でした。原作未見アニメ勢といういわゆるにわかと呼ばれそうな立場ではありますが、「ほほう…」と唸ってしまう満足度の高い作品でした。これなら原作勢の方々もにっこりなのでは?と自らの立場をわきまえず思った次第。

が、しかし、満足度が高いのは作品本体のみのお話。番組の構成自体は、個人的には「民放キー局の悪いところを煮詰めた無駄な時間の羅列」でしかなかったのです。

今回の放送枠は3時間。結構なお時間です。その中で本編以外に興味があったのは、本編の主題歌・挿入歌を担当しているバンド、King Gnuのライブ映像および、先日より始まったじゅ2期の冒頭映像公開のふたつ。ここに関しては文句つけるとこはありません。いいとこは褒めていきましょう(上からよくない)。

問題視しているのは放送開始から本編開始までの20分間にあるのです。 19時より開始した番組では、ナレーションによる簡単な解説から始まりました。その後すんなり本編へ行けばよかったのだけど…始まったのは芸人さんたちが集まって催された「じゅ好きトーク」でした。 自分がいかに好きか、そもそもどんな話なのか、20分じっくり笑いも交えながらトークが展開されていました。

おじさんといえば、そんなもん全飛ばしに決まってますよ。ふざけんなですよ。 あくまで個人的な意見として言うけれど(まあ壁打ちだし)、こっちが興味があって、それなりに情報も仕入れて(一期くらいは見ているし)、それを前提で劇場版観ようってアタマなんですよ。そんな時に見ず知らずの人間の「自分こういうとこ好きでー」なんて言われても共感もなにもないんだよ。むしろ「なんでお前の自分語りを見せつけられる罰ゲーム受けないとならんのよ」て気分なんですよ。

好きなら好きで置いといてくれ。ついでに言うなら、そう言う話をしたいのなら観終わってからにしてくれよ、と。

わかってるんだ。この20分は別に自分がいかに好きかを語る場という体で作品そのもののレビューをして、この作品に触れるのはこれが初めてという人に向けての導入なんだってことくらいは。

で、あわよくば新規視聴者を獲得して放送中の二期とあわせて、コンテンツ自体を盛り上げたいだ、てのは。その手段として芸人さんにも出張ってもらってるってのは。 でもそれは本当に導線として正しいのか? と問いたい。

テレビ局としての判断としては正しいのだろう。しかしおじさんは老年オタクなので、こういうノイズは正直邪魔なんですよ。本編だけで勝負できるじゃん、させてあげてよ、と思っちゃうんです。

民放キー局がアニメに対して一目置くようになっているのはなんとなく感じます。漫画が原作の「葬送のフリーレン」は金曜ロードショー枠で1話を放送するという力の入れようです。おそらく番組冒頭にはガイドコーナーが入るでしょう。その際はどうか最小限に留めてほしい。過剰な紹介は、作品の持つ驚きや感動をあらかじめ削り取る効果もあると思うのですよね。

前シーズンで放送された「推しの子」ですが、こちらも初回は90分枠を使うという破格の扱いでした。これは単行本1巻分まるまる映像化したことになっていたようです。 丁寧に作られた90分の作品にはガイドコーナーも芸人さんたちのトークもありません。ただひたすたストーリーを進めていきました。そして最後に迎える衝撃の展開。それに続く物語。この思い切った施策により話題を呼び、大きな人気を博することとなりました。

「おはなし」で魅せるちからがあるものは、余計な手助けは必要ないのではとおじさん思います。そこまで人の感性は劣化してないはずです。民放キー局の方々は、視聴者の感受性をちょっとバカにしすぎてないですかね。

追記:これはしょうがないとはわかっちゃいるけど言わざるを得ない。民放キー局はCMが多すぎ&長すぎ…。U局慣れしているおじさんにはちょっと厳しかった…。てかCMだけで枠の時間どれだけ取ってるんだろ?