「シン・仮面ライダー」を観に行ったよ

何かと話題の本作、面白かったよ。

ただ、「シン・ゴジラ」の時の「おお!」とか「シン・ウルトラマン」の時の「ほほう…!」というのはなく、ただ面白かった。高揚がない方の面白さというべきか。

放送50周年を記念ということで、初代仮面ライダーを令和版としてアップデートした、という謳い文句よろしく、冒頭は仮面ライダー1話の再現に注力。画面構成もほぼ同じな徹底ぶりは素直にすごいな、と。

以降、様々なショッカー怪人(〇〇オーグ)との戦いを経てショッカーが推し進める「ハビタット計画」阻止のため、敵アジトへ向かう…。というのが雑かつ大まかな話の筋。

初代ライダーのリブート、リメイク等は今までも行われているため、今回の「シン」はそれらとどう一線を画すのかが気になったのだが、その中でまずは良かった点を挙げたい。

まずは構図の決まり方。ひとつひとつのシーンが自分にとってかっこいい構図の連続だったのでここは満足。が、しかし、それゆえに良くなかった点にもつながるのだが、それはまたあとで。

もうひとつは話のテンポ。ただこれはすべてが良いわけではない。2時間という枠内でできる限りわかりやすくしてるのだろうな、という意思は感じられたし、それに見合った進行速度であったため、大きなストレスをはらむことなく最後まで鑑賞できたのは良い事だろう。

で、良くなかった点。まずは、序盤でのセリフの長さ。あまりにも説明的すぎるし、その間特に場所が変わるわけでもなくしゃべりが続くシーンがちらほらあるので、ここはもっとどうにかならんか…。もっとやりようがあったのでは…?

次に設定部分…というか石ノ森要素について。あくまで初代ライダー、しかもTV版の再構築であるからそんなに石ノ森要素は必要ないといえばそうなるのだけど、ビジュアルに石ノ森感を匂わせていたのでにちょっと期待していたのだが、肩透かしを食らった気分になった。しかし前述のとおり、TV版ベースと考えればいたし方ないのだが…。

最近話題になったアクション部分だが、個人的満足度としては5割といったところか。クモオーグ戦は序盤のつかみ、および旧作再現であるから、しっかりとしたアクションが見られたが、それ以降、ハチオーグ戦、0号戦以外は「悪くないんだけどね…」というのが正直な感想。

件のドキュメンタリーは未見だが、そこで監督が語っていたことが実現されず、妥協の結果がこれであるならば、違う妥協を見たかった。

とはいえ、CG主体のアクションが皆悪いってわけでもない(コウモリオーグ以外)。この辺りは好みの問題だろう。

 

「シン・仮面ライダー」は旧作のエッセンスや現代科学等の要素を混ぜてこねて削り出して生まれた作品だと思う。娯楽作品としてはうまくできている方ではあるが、そこに作品が持つテーマが見えてこない。そういう不思議な形の彫刻のようなものなのではなかろうか。